さまざまなビジネスが日夜うまれている。それはデジタル分野だけでなく、アナログなものづくりの世界でも起こっている。このコラムでは、これまでの業界の常識を変え、世の中を変えようとする取り組みを紹介する。

「所有から利用へ」と
ラグジュアリ市場
カテゴリー:ビジネス

シェアリング経済が拡大し、消費の傾向は「所有(ownership)」から「利用(usership)」へと変貌している、と言われております。
特に2000年代に成人を迎えた、いわゆる「ミレニアル世代」は所有には興味がなく、すべてを利用ですまそうとします。
でも、本当にそうでしょうか。

なぜかスーパーカーもなくならないし、高級服も、高級時計もなくならない。
それを象徴するかのごとく、ハイエンドブランドが各地にストアを開いています。スイスの名門ブランドIWCも、大阪に直営店をオープンしました。川上もIWC社からご招待を受け、先日オープニングイベントに呼んでいただきました。

今回は社長のマニュエルさんと対談するという機会でのご招待。その内容がまさにこの「所有から利用へ」。IWCさんは日本市場でこの10年で2倍に売上を増大させたとのこと。そこで、本当にみんな「利用」だけですまそうとしているのか?という疑問について意見交換をしました。

いろいろな側面はあるでしょうが、川上はこう見ています。
実は所有から利用へ、というトレンドは、よりよい所有をするために、賢く利用することを意味しています。いわば「集中と選択」なのです。すべてがスマート化した結果、消費者も賢くなり、よりよい消費をするようになります。こだわりがある部分には重点的にお金を払い、そうでない部分はできるだけ安く済ませるようなります。このテーマについてはまた改めてどこかで。

店内に1時間ほど滞在しましたが、もっといると、おそらく無理してでも買ってしまいそうになりそうでした。笑。時計であれ、車であれ、洋服であれ、ハイエンドな顧客接点とはそういうものだと思います。


IWCジャパン社長マニュエル・ブランデラ氏と対談

時計なんてスマホで十分よ、という方。時計の利用価値は時間を確認するということだけではありません。いや、むしろそこではなく、自身のグレードを上げてくれる「きつけ薬」のようなものです。

所有から利用へ、というトレンドは、モノがもっている「力」を試します。「力」がないモノは、利用価値なしと見られ、どれだけ安くしても買ってもらえなくなりますね。

企業が見せるプロダクトやサービスの実力がいよいよ試される時代になりましたね。