さまざまなビジネスが日夜うまれている。それはデジタル分野だけでなく、アナログなものづくりの世界でも起こっている。このコラムでは、これまでの業界の常識を変え、世の中を変えようとする取り組みを紹介する。

戌年、ワンワンワンの日に「相棒」復活
カテゴリー:ビジネス

みなさま、今年もよろしくお願いいたします。
そんな戌年の、1月11日、ワンワンワンの日に、ソニーよりaiboが復活したしました。

今回は、以前とは一味違う。
AI(人工知能)が搭載されて、学習する。それに、クラウドにつながっているので、全aiboが一斉にアップデートされて、勝手に賢くなってたりする。本物のワンちゃんにまた一歩近づきました。

クラウドと常につながっていることで、アップデートも含め、新たな機能追加なども可能になります。そのかわり、これまでのようにソニーはaiboを「売り切って終わり」なのではなく、買ったときから「おつきあいを始める」という全く異なった関係性を、オーナーさんときづいていくことになります。

顧客との関係を持ち続けるのは大変です。つまり顧客接点、いわゆるタッチポイントが「多く」なったり、ひとつひとつの接点に手間がかかる、つまり「深く」なるわけです。

面倒なので、普通はやりたくないこのタッチポイントの強化。しかし、これが新たな課金ポイントにもなります。おつきあいを続けるということは、継続的にソフトウェア・アップデートがあるということです。もちろん、愛犬並みに情を持って「飼っていただく」わけですから、aiboもそれ相応にお利口になってもらう必要があります。

それはソニーからすれば「アップデートの工数」、お客さんからすれば「ご褒美のエサ代」になるので、もちろん課金ポイントになるわけです。というわけで、aiboはベーシックプラン3年というサービスにマストで加入する必要があります。

もうお気づきですね。実は、ソニーはaiboを通して、リカーリングモデルを採用したのです。繰り返し発生する収益、リカーリング・レベニューを獲得できるのです。ものづくり企業は、1通って終わりの顧客関係性だったので、収益的にも「当たればホームラン」だったのが、これで定期的に「ヒットが続く」状況を作り出すことができます。

以前より、ソニーは売り切りモデルを脱して、定期継続収益を得るリカーリングを強化して、収益改革を図ろうとしてきました。この次世代aiboも198,000円の本体購入で完結せず、リカーリングモデルが採用されたわけです。

ソニーも、日本企業の他の家電大企業と同じく、低収益に苦しんできました。それは売り切りモデルの限界を示しているのかもしれません。しかし、ソニーが他の家電企業と違っていたのは、金融事業を収益の柱として持っていたこと。とくに、生命保険は大きく儲けていますね。

生命保険も、契約者から毎年(あるいは毎月)収益をもらえる、リカーリングモデルです。それがソニーの収益を支えてきたことを考えれば、エレキ分野にもリカーリングモデルを採用したという流れは、ある意味自然だったのかもしれません。

ただ、ものづくりでは、いまだにこのリカーリングが上手にマネタイズ戦略に組み込んだ企業が見受けられません。ソニーがここで大きくヒットを飛ばしてほしいものです。

ただ、もしリカーリングモデルをもっと自然に採用しようとするのであれば、「ベーシックプラン3年」という携帯端末を想起させるネーミングはいただけません。「ケアサポート」もです。Aiboのターゲットユーザーは基本的に「愛犬家」ですよね。事情があって犬は飼えないが、だからこそaiboを飼いたい。であれば、犬にかかる当然のコストを考えるべきです。そうなると「ベーシックプラン」は「aiboのご飯」とか「ご褒美」であったり、「ケアサポート」は「aiboの健康診断」にしたほうがよいですね。