さまざまなビジネスが日夜うまれている。それはデジタル分野だけでなく、アナログなものづくりの世界でも起こっている。このコラムでは、これまでの業界の常識を変え、世の中を変えようとする取り組みを紹介する。

愛されるビジネス小説の共通点
カテゴリー:ビジネス

最近読んで感銘を受けた本があります。それがこれ。

ダイアナ・キャンダー著、牧野洋訳『スタートアップ』(新潮社)

いろいろ話したいのですが、ネタバレになるのでやめますが、起業やスタートアップに少しでも興味のある方は、読んでみてください。まぁ、おもしろい。そして、企業と起業の違い、そして創業に際して何を間違えるのか、よくわかります。川上は2回読みました。3回目いきそうです。

元ネタになる理論(『顧客開発モデル』や『リーン・スタートアップ』)がありますが、それをストーリーで読み聞かせるというものです。
こうしたビジネス小説はこれまでたくさんありました。
その中でも、川上が特に心に残ったものがこの『ザ・ゴール』(ダイヤモンド社)と和物だと『ルーズヴェルト・ゲーム』(講談社)

ビジネス小説はたくさんあるんですが、それでも単なる小説と違って、少し小難しいこことが語られます。なので、読み手を選ぶのですが…。ただ、こうした傑作たちは、1点ほかと違っていることがあります。それは。

「読み手の興味を引く別の事柄と、ビジネスの話を融合していること」です。

決して、ビジネスの話をビジネスのことのみで結論づけません。これがミソなんだとすごく思います。

『ザ・ゴール』は夫婦や家族関係と、生産管理の現場で起こる問題が掛け合わされています。ビジネスできづいたことを、家庭でも意識すると、すべてがうまくまわりだします。ワークライフバランスの問題など一気に解決です。

TBSでドラマにもなった池井戸潤さんの『ルーズヴェルト・ゲーム』は、青島製作所が直面する競合の妨害や特許争いと、同社の野球部の死闘(資源が少ないからデータを駆使する)をリンクさせて、物語を展開していきます。いわば『下町ロケット』『マネー・ボール』を融合させてできた傑作ですね。

で、この『スタートアップ』は、イノベーションを起こすスタートアップ企業の紆余曲折の物語と、ラスベガスのポーカー大会をかけ合わせて話が進んでいきます。ポーカーの知識がなくても、最初に解説してくれるので見どころはちゃんとわかりますので、ご安心を。

有名コンサルティング企業をやめて起業したオーエンが、女性起業家サムの助言を得ながら、さまざまなことを気づくだけでなく、実践していきます。その際のポーカーとの対比が面白いです。

ポーカーをかけ合わせたといえば、傑作が。そうスパイ映画にポーカーを引っ掛けた『007 カジノ・ロワイヤル』もどうぞ。

最後は脱線しましたが、秋の夜のおともに、『スタートアップ』をどうぞ。むずかしかったら『カジノ・ロワイヤル』で。笑。