さまざまなビジネスが日夜うまれている。それはデジタル分野だけでなく、アナログなものづくりの世界でも起こっている。このコラムでは、これまでの業界の常識を変え、世の中を変えようとする取り組みを紹介する。

大阪の中国化にみる「爆買い」の進化
カテゴリー:ビジネス

私は実家が大阪です。家族も大阪にいます。居住区域はどちらかといえば、ミナミとよばれる心斎橋・難波エリアのキタ側。
日常の徒歩圏内に、アメリカ村や堀江、それに道頓堀などが存在しています。このあたりは、もはやいま「日本以外のなにか」になりつつあります。

中国や韓国をはじめとするいろんな国の方々が大阪を訪れ、爆買いをしてくれているおかげで、大阪経済はかなりよくなっているようです。しかし、爆買いの傾向にも変化があります。それによって、儲かるビジネスもかわっているのです。大阪を例に見ていきましょう。

たとえば最初は高級品を扱うデパート(大阪で言うと大丸心斎橋店や、高島屋大阪店など)が、恩恵を受けていました。しかし、あるときそれがピタッととまります。そうです。中国政府が高級品は自国で買うように促すため、外国から中国に高級品を持ち込む際の関税を引き上げたのです。この状態はまぁまぁ続いたように思います。

肌感覚では、USJがハリーポッターをオープンさせた頃の2014年から2016年4月あたりまで続いたように記憶しています。これを爆買い1.0とするならば、2.0は、高級品の影に隠れながらも着実に売上を伸ばしていた、「日用品」の爆買いでした。その恩恵を受けたのはドラッグストア業態です。
心斎橋筋商店街は、もはやドラッグストア銀座。2.0は、高機能なおむつや化粧品などを消費するスタイルとなっていきました。

さらにそれに交差するかのごとく、いまは「モノ」から「コト」に移り変わりました。ミナミエリアでも、大阪人の台所として反映していた黒門市場がその代表です。最近では、スーパーなどに押され、市場自体が地盤沈下していました。が、ミナミで買い物をするインバウンドにとって、黒門市場は立地優位。魚介や生鮮品の「コト」消費の舞台として黒門市場が流行りました。

こう見ると、高級品(1.0)と日用品(2.0)のモノ消費から、コト消費(3.0)へと変遷を遂げました。一口に爆買いといっても、状況が全く異なっています。
ということで、4.0は次なるアップグレードされた「コト消費」になりそうです。シェアハウスなどもたくさんできて「暮らすように旅をする(Airbnb)」ことができるので、ツーリストとしてではなく、居住者と課題を共有しそうですね。
これを「ああ、爆買いね」と一蹴してしまわず、自分ごとと捉えたときに、新たな転換を図っていけるのではないでしょうか。

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