さまざまなビジネスが日夜うまれている。それはデジタル分野だけでなく、アナログなものづくりの世界でも起こっている。このコラムでは、これまでの業界の常識を変え、世の中を変えようとする取り組みを紹介する。

「完璧なものを作って納品する時代は終わった」
カテゴリー:ビジネス

iPhoneがつくりだしたスマホブーム。
大きなポイントはコネクテッド。つまりつながっているということ。
iPhoneも「X」が出て、10年。
ということでこの10年。「つながっていない」それまでとは、大きく人々の価値観や、そこに奉仕するビジネスの価値観さえもが変わりました。

一言で言うならば、「完璧なものを作って納品する時代は終わった」ということ。
人間の価値観は変わります。価値観が変わるからこそ、陳腐化が起こります。
しかし、製品が変わることができれば、陳腐化どころか、人間の価値観をリードすることすらできるわけです。
時代が変わったのは「常につながっている」ことが直接の原因だといえます。

機に応じて調整していく。ソフトウェアやデジタルの世界では、それが可能になりました。ソフトもCDで完成形を納品する形から、バグが有っても先進機能をいち早くリリースして、あとから調整してく。
どれだけ心配しても、事前にはどんなバグがあるか完全にはわからないなら、ある程度の完成度をもってリリースにこぎつける。そうしてパッケージソフトはSaaS(Software as a service)化によってサービス化してきたわけです。

単純なソフトウェアだけではなく、IoTによってすべてのものがつながることで、ものづくりの分野にも当然そうしたものが現れてきました。
最たる例が電気自動車のテスラです。

いろいろと問題提起はありますが、当初バグだらけだった半自動運転機能なども、アップデートを繰り返し、どんどんと精度を上げています。

あるいはAIスピーカーもそうです。我が家のアレクサも昨年末に自宅に来た時はどうかと思いましたが、最近ではどんどん賢くなっています。笑。

こんなふうに、常にアップデートを繰り返し、さまざまな機能が精緻化され、そして、「完璧」へと近づいていきます。
いや、もはや「完璧」な状態などないのかもしれません。

製品がそうなのですから、ビジネスもそうです。
これまでの経営学では、完璧をめざすような体制を作るように理論構築がされてきました。しかし、そうしたアップデートの傾向をくみとるように、「リーン・スタートアップ」という概念が普及しました。「ピボット(軌道修正)」を前提として、学習するために製品をリリースするという流れになりました。

尖ったものを生みだす思考は、事前にすべてを予知して作り上げるという「完璧主義」の考え方よりもしろ、ある程度の確からしさをもってスピード感をあげていく「テンポのよさ」が大切です。

そうなると、沈思黙考するよりも、自分の考えを魅せて存在感を示し、さらには進捗を示すことが大切。お客様であれば、新たな価値提案とリリースのタイミングやスケジュールを。会社のボスであれば、自分ができることややりたいことと、その進み具合を。そうすれば、「つながる時代」に信頼される存在となります。

春から新しい環境になった社会人の皆様、そして学生諸君。
仕事にも勉学にも、この考え方は重要ですね。
自分の身近にあるプロダクトやサービスにみならって、先進性とテンポの良さにトライしてみてくださいね。