さまざまなビジネスが日夜うまれている。それはデジタル分野だけでなく、アナログなものづくりの世界でも起こっている。このコラムでは、これまでの業界の常識を変え、世の中を変えようとする取り組みを紹介する。

あなたの「趣味」を「研究」に変える3つのポイント
カテゴリー:ビジネス

こんな仕事(一応研究者)をやっていると、研究と趣味の境目がわからなくなります。たとえば、映画ビジネスについてのコメントを求められたり、時には論文や著書に書いたりすることもあります。すると、映画は趣味なのか、研究なのか?

同じように、クルマ好きが自動車のことを調べるのは、趣味なのか、研究なのか?
秋葉原のオタク事情から社会を読み解く場合、メイドカフェに行くのは?
ハイエンドブランドの成功事情を聴きだすために、洋服を買うのは?

と、こうやってみるとなにをテーマにするのかで、ほとんどのことが研究でもあり趣味にもなるわけです。

逆に、趣味や好きな分野を「研究」にしてしまえば、だれよりも熱心にその分野にのめりこむことができます。川上はかつて、「映画」「スキー場再生」「アパレル」などを対象とした研究をしてきましたが、それは全部趣味から始まったものでした。
でないと、「あれってどこがすごいの?」とか「それとこれの微細な違いはどうやって説明できる?」といった素朴な疑問が、生まれないのです。

では、ますます趣味と研究の線引きがわかりにくくなってきますが、その違いを説明すると、①測定、②記録、③報告、です。それがないものは「趣味」です。

オタクと研究者の違いは、単純にその対象を深く調べ上げる熱量があるだけではなく、それを誰かの何かに役立てようとすることです。

まず、なんらかの形で、そのなにかを測定する尺度を決めます。たとえば、映画ならば興行収入とか、製作費なんかがありますね。車なら馬力とかスペック、研究開発費、それに価格。メイドカフェなら在籍するメイドさんの数とか、あとはサービスの対価、、、などなど、思いつくものを測定します。

つぎに、それを記録します。エクセルでもなんでもよいです。この記録が、データベースとなり、大きな価値を持つようになります。体験したものは記録してください。

そして、それらをなんらかの視点に基づいてまとめます。ただし、読み手にわかりやすい形で。それが報告、つまりレポートです。たとえば他のユーザーはどこが知りたいのか、と言った視点で書き出せれば、もはや「バイヤーズガイド」になります。

つまり、単なる自分だけの体験で終わらせず、その価値を分析して、客観的に伝える意思がとても大切です。もちろん、自身のことをオタクといいながらも、なんらか自分の体験したことを整理して発信をしている人もいますが、その人はもはや研究者です。

ということで、みなさんも趣味でやっていることがあれば、それを研究にまで高めてはいかがでしょうか。もし、ちゃんと測定して、記録して、報告すれば、なんでも研究になって、人の役に立ちます。料理研究家や掃除研究家や家事研究家という方々が専業主婦と違っている理由は、そこにあります。合コン研究家とチャラ男のちがいも、SNS研究家とただのインスタグラマーとの違いも、プチプラ研究家と節約家の違いも、すべてそうですね。さぁ、ハマっていることをエクセルにまとめましょう。笑。

いまなんて、誰でもブロガーになれるんですから、そうやって報告していれば、趣味がいつか仕事につながるときがくるかもしれません。そんな面白いコンテンツならば、広告もつきますし、多くの人の目にもとまります。どこか大きなメディアで、おおやけにコメントを求められることもでてくるはず。

ちなみにぼくは35年間香港映画オタクをやっていますが、いまだに研究家レベルに達していません。精進します。

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